

あらすじ
スーパーのレジに立つ四十二歳の佐和子には、二十年間押せなかった電話番号がある。離婚の日、二歳の息子を元夫の実家に預けたまま家を出た。健診の再検査通知を握りしめた帰り道、見知らぬ若い母親が我が子に「ごめんね」と繰り返す姿に足が止まる。あの日、自分はなぜそれを言えなかったのか。残された時間で、彼女は誰に何を返しに行くべきなのか。一通の手紙が、長い沈黙をほどきはじめる。


スーパーのレジに立つ四十二歳の佐和子には、二十年間押せなかった電話番号がある。離婚の日、二歳の息子を元夫の実家に預けたまま家を出た。健診の再検査通知を握りしめた帰り道、見知らぬ若い母親が我が子に「ごめんね」と繰り返す姿に足が止まる。あの日、自分はなぜそれを言えなかったのか。残された時間で、彼女は誰に何を返しに行くべきなのか。一通の手紙が、長い沈黙をほどきはじめる。